01. 寺院建築には独特の様式があり、その作法にのっとった設計をしなくてはなりません。数々のルールを守りるる、そのお寺らしのある設計を心がけます。これは「懸魚(けぎょ)」を取り付けているところです。懸魚とは、お寺の屋根の鬼瓦の真下、屋根の妻部分に棟木を隠すために取り付ける、彫刻を施した飾りのことで、寺院建築の大事な表情となるものです。水と縁の深い「魚」が屋根にあることで「防火」になるというゲン担ぎだとも言われています。
02. 寺院建築で、本殿の正面の中央の階段の真上に張り出した屋根を「向拝(こうはい)」と言います。本殿と向拝とが合わさる部分は、もっとも取り合いが複雑になるところであり、かつ、お参りする人の目にいちばんよく止まる所で、宮大工の腕の奮いどころです。紙で覆われているのは。向拝を支える向拝柱の真上で、二本の向拝柱同士をつなぐ「水引虹梁」と、本殿と向拝とをつなぐ「海老虹梁」とが交叉する先端部分。「木鼻」といって、彫刻が施されています。
03. 法事などで檀家さんが集まる時に使われる二間続きの座敷です。正面が床の間、右手の一段高くなったところが「琵琶床」、左手が「付書院」です。
04. 付書院。書院の欄間の透かし彫りの龍の荒々しい姿と、細い桟で構成された繊細なデザインの障子から入る優しい光とが対照的です。
05. 床の間と書院のある座敷の続き間。襖には一対の龍が描かれています。
06. 縁側から座敷を見たところ。人が大勢集まると熱気がこもりやすいので、鴨居の上にも欄間障子をもうけて座敷の通風や採光を確保しました。
07. 外観。檀家さんが集まるのに相応しい、格式を守りながらも重厚すぎず、清々しく明るい空間ができました。